2016年3月24日木曜日

Moshville Times 「Metal Resistance」レビュー

レビュー:BABYMETAL、「Metal Resistance」

BABYMETALについての意見を持たない者として俺は、日本で一番ホットな、たぶんCOLDRAINやVOW WOW以来のメタル輸出品のニュー・アルバムをレビューするには最適の立場にいると思う。正直なところ、とりあえず頭に浮かぶのは、BABYMETAL以外ではこの二つしかないんだ。俺の残りの同僚は「すげー、これまでで最高!」か「何だよ、このゴミは?」のどちら側にしっかり乗っかってる。メタル・コミュニティーがこのバンドについてどちらかに分かれていることは2分もあれば分かるだろう。

知らない連中のために、BABYMETALというのは三人の日本人の女の子(まだ十代だと思う)で、ステージではスゥメタル(ヴォーカル、ダンス)、ユイメタル(スクリーム、ダンス)、そしてモアメタル(スクリーム、ダンス)という名前を使っている。バンドのミュージシャンが誰なのかははっきり示されていないが、実際には日本のロックやメタル・シーンでかなり長くやっている連中だ。もともとは、曲のバックはあてぶりだったんだが、BABYMETALの人気が高まるにつれて、「きちんとした」バンドがこういった連中に代わった。メンバーの一人、大村孝佳はマーティ・フリードマンと一緒にやっていたので、コードを一つか二つならすことが出来るミュージシャンという話ではない。然るべき時にはほめるべきだ。このバンドはいい。

女の子たちは、「アイドル」TVショーの一環としてバンドに加わり、その時にはメタルのことはまったく知らなかった。だから作られたバンドだ。その意味では、最高の始まりとは言えない。

だが、とにかく連中は始めた。最初のシングルは、すぐにYouTubeで100万ビューを超え、日本の武道館で演奏した最年少のバンドになった。それも二度だ。ソールドアウトの観客に対して。このショーはライヴ録音としてリリースされている。このショーは、遠く離れた欧州、米国、それに英国といった場所での複数の海外公演に挟まれていた。

2014年末に、BABYMETALはブリクストン・アカデミーで演奏し、“Road of Resistance”というDRAGONFORCEのハーマン・リとサム・トットマンが共作した曲を初披露した。これは実際には「Metal Resistance」のオープニング・ナンバーであり、結果として俺が最初に耳にしたBABYMETALのナンバーとなった。おかしなことに、この曲の背景さえ知らずに、俺が最初に思ったのは、「これはDRAGONFORCEを日本人の女の子が歌ってるみたいな音だ」というものだった。

ヴォーカルは、曲の中に深く埋め込まれていて、交互に登場するハーシュなヴォーカルとクリーンなヴォーカルは信じられないほどうまく働いている。高速のDRAGONFORCEトラックであり、去年のダウンロードでDRAGONFORCEをゲストに迎えるという「ジョーク」に沿った名誉がBABYMETALに帰するべきものなのは間違いない。

でもBABYMETALはジョークなのか? このアルバムを聴いていると、俺は最初は物まねから始まった、あるいは「みんながどう考えるかやってみようぜ」から始まったとしても、絶対的に何かを引き起こしている本物のバンドへと育ってきたという感じを受けるんだ。トットマンやリーをこの式から外して、アルバムの残りの曲はどうか? えーと、いい。いいんだよ。実際、すごくいいんだ。

いろいろ頭に思い浮かぶことを把握するために手を打ち鳴らしてみると、("Amore"のような曲で)前に挙げたDRAGONFORCE、LINKIN PARK、 (DJミックスによるイントロから圧倒的な歪んだギターが続く"Awadama"の)SLIPKNOT、そして大阪だろうがソウルだろうが北ロンドンだろうが、バブルガム・ポップ・バンドの大きな影響が聞き取れる。そしてうまく行ってるんだ。なぜか予想と反して、汚らわしい、でっち上げのぐちゃぐちゃには聞こえない。子供向けマンガ、「Teen Titans Go」のテーマ曲を探せば、このスタイルのアイデアが分かるはずだ。あるいは下の"Karate"でもいい。

最もヘヴィーでスラッシュなビートの上に重ねられたカワイイヴォーカルは、スタイルのミックスについてどこかの誰かが素晴らしい耳を持っていることを強調している。作曲家、演奏家、そしてプロデューサーはそのことをたたえられてもいい。4〜5曲聴いたところで、俺は転向した。1曲良い曲があれば英国では成功する。新しいものだという価値にもとづいて、チャートのナンバーワンに到る一発屋というやつだ。でもアルバムの半ばまで、どの曲もすぐれていたら? それはもう、まぐれじゃない。才能だ。

1曲ずつ取り上げることも出来るが、RockSoundが既にきちんとした仕事をしている。だからここには多様性の宝の山があると言っておこう。中心になるのは、ドラムス、ベース、エレクトロニクスのエッジを効かせた高速でヘヴィーなナンバーだ。特に違いが際立っているのは“Meta Taro”と“The One”だ。

“Meta Taro”はマーチ曲で、ぞくぞくするように速いのではなく、スローでヘヴィーに進む。“The One”は、このアルバムにおける俺の抱えた唯一の問題、日本語がしゃべれないという問題に応えているという意味で違う。それから最も軽い曲の一つで、ハード・ロック・バラードといったところなので、英語だというだけでなく、歌唱そのものを本当に評価するチャンスが得られる。“No Rain, No Rainbow”は同じような効果を日本語で得られる。

このアルバムがレビューというよりは特集みたいに仕上がったと思うが、前にも述べたように、最初はみんなはどちらかに分かれるんだ。既にBABYMETALが大好きな連中には、このアルバムが一秒でも失望させるとは思わない。基本的にBABYMETALがきらいな連中は、もしこのアルバムが少なくとも音楽についてのチャンスを与えるだけの説得力がないなら、そんなものは存在しないだろう。BABYMETALを聞いたことがない人は、機会があったらぜひ聴いてみて欲しい。

「Metal Resistance」は4月1日にリリースされ、バンドは(ソールドアウトだと思うが)翌晩にウェンブリー・アリーナで演奏する。行ける連中がうらやましいぜ!

▼元記事
http://www.moshville.co.uk/album-review/2016/03/review-babymetal-metal-resistance/


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