2016年5月29日日曜日

[Snap Thirty] BABYMETALのメタル革命

BABYMETALのメタル革命: Only the Fox God knows

ヤハンゼブ・カーン(2016年5月29日)




ハード・ロックをポップ・アイドル音楽に取り入れるということ自体は、聞いたことがないわけではないが、ほぼすべての音楽ジャンルがクローンで飽和状態にある業界で、その音楽のブランドが傑出して成功しているBABYMETALと同じようなかたちでというのは聞いたことがない。この理由だけで、BABYMETALは唯一無二のカワイイ・メタル・バンドとしてきちんとした敬意に値する。

はじめてBABYMETALを聴いた者はまずあの曲を紹介されただろうし、私が話しているのはもちろん"ギミチョコ!!"のことだ。確かにこの曲にはショックな価値があり、これはカワイイ・ポップ・アイドル・ソングで、小さな子供たちがバックグラウンドで大音響で鳴っている、おそろしく、ほとんどデス・メタル音楽に合わせて歌っている。同期の取れた音楽は、メタル・バンドの容赦ない爆音にぴったりと合っている。この曲と音楽ビデオは、YouTubeの本当に多くのリアクション・ビデオのテーマとなり、それぞれが最後のものよりもさらにうっとうしくで、不自然だ。

("ギミチョコ!!"へのリンク)

このように言った上で、"ギミチョコ!!"は、君の注目を確かにひいたかも知れないが、これは君をそのままファンにする曲ではない。おわかりのように、もしこれが摩訶不思議でショッキングなインターネットのミームだったらば、消え去っていたかも知れないが、そうはならなかった。BABYMETALは、母国である日本、そして世界中であくまで人気を保っている。ヒット曲1曲だけのショック・マスターのフロックだったら続かない。本物でなければ続かず、それがBABYMETALなのだ。

自分が懐疑的だったことは認めるし、、"ギミチョコ!!"は興味深い気晴らしでありそれ以上ではなかったので、正直なところ先週までこのバンドをちゃんとフォローしていなかったが、どのように売れるだろうかというのは確かに気にしていた。ヘビー・メタル・コミュニティー、特に欧米のそれを見れば、連中が堅苦しく、どんな気取り屋や偽物に対してもがみがみいうので、どんなバンドも完全に歓迎することはない。にもかかわらず、予想にすべて反して、彼らはBABYMETALを歓迎し、このカワイイ・メタル音楽というユニークなブランドを祝福した。BABYMETALはケラングやメタル・ハンマーのようなヘビー・メタル音楽誌のカバーを飾るようになり、その音楽は絶賛を浴びた。やがて、METALLICAなどを聴くのと同じオーディエンスから受け入れられ、ハード・ロックやメタル・フェスのヘッドライナーとなるだろう。

これはどういうことを意味しているのか? つまりBABYMETALは正当な優れたメタル音楽だと言うことだ。リード・シンガーやダンサーと同じだけの評価と誉れに値するバッキング・バンドの咆吼する容赦ない演奏に合わせて、アップビートのボーカルがハーモニーを奏でる。BABYMETALは違うのだ。新鮮であり、何よりもその音楽はアプローチが一貫していて、常に良くなっていくので、決してフロックなどではない。それがBABYMETALを本物にし、偶然が生んだ最高のものにしたのだ。

西洋のヘビー・メタル・ファンベースに受け入れられるということは決して小さな成功とは言えないが、それでもBABYMETAL自体がニッチであり、この親密なコミュニティーでの成功は、そのままメインストリーム・メディアに対する成功となるわけではない。ただし、BABYMETALの場合、まさにこれができた。

BABYMETALのファースト・アルバムは基本的に日本に留まり、ずっと経ってから他の国で限定リリースされたが、最新アルバム、「Metal Resistance」は、ここオーストラリアを含む、世界中でずっと徹底的にリリースされた。日本のバンドが地元のJBハイファイの棚に到ることはよくあることではないので、「Metal Resistance」がショップの棚にあるのを見ることはとてもクールな光景だ。これは、このアルバムに多くの人々が気付いたことを示しており、このアルバムはオーストラリアの音楽チャートで最高位7位とあり、その他の英語圏の国々でも良い成績を収めた。たった1曲しか英語の歌がないカワイイ・メタル・アルバムがオーストラリアの音楽チャートのトップ10入りする。このことをよくかみしめたい。

だから私は"ギミチョコ!!"との短い遭遇以外、何の期待も持たずに「Metal Resistance」を手にした。だから何か摩訶不思議なものを聞くことになるのか、それとも何か驚くべきものを聞くのかよく分からなかった。そして幸いなことに、後者だったのだ。極めて簡潔かつゆるくそのサウンドとスタイルを説明するなら、DRAGONFORCEミーツAKB48だ。

このアルバムは、エピック・スタイルの"Road of Resistance"で始まり、最初の「何じゃこれ」となった"Karate"へと続く。この曲は本当にエピックで驚くべきものだったからだ。この曲が私にしたこと……なんてこった、これはすごい曲だ。1日後、トリプルHが"Karate"はNXTテイクオーバー:ジ・エンドの公式テーマソングになったと教えてくれた。このことは昨日書いたばかりだ。

"Karate"の次の曲は、"あわだまフィーバー"で、これはお菓子についてだが、今度はチョコではなく、チューインガムだ。"META メタ太郎"は一種の戦争のスーパーヒーローのアンセムみたいなので、"Karate"の次に私が気に入ったのは最後の3曲、バラード風の"No Rain, No Rainbow"、幾重にも重ねられたドラマティックな"Tales of The Destinies"、そして印象的な英語のボーカルでアルバムの壮大なエンディングを迎える"The One"ということになる。全体として「Metal Resistance」の素晴らしいところは、それぞれの曲が個性的で異なっており、そのことでBABYMETALはクールで人の心をひきつけるものになっている。

("Karate"へのリンク)

率直に言って、私は「Metal Resistance」が大好きだ。これは海外のバンドのほとんどがとにかくできない言語の壁を克服する本当に素晴らしい音楽を備えたものすごいアルバムだ。("The One"を除いて)歌詞が分からなくても構わない。なぜなら演奏が本当にすごくて、バッキング・バンドはスポットライトを浴びないかも知れないが、BABYMETALのサウンドにすべてが欠かせない。3人のボーカリストの中では、スゥメタルを評価しなければならない。彼女は、いつかソロ・キャリアを成功させるかも知れない素晴らしいボーカリストだ。特に"No rain, No Rainbow"や"From Dusk Till Dawn"のような曲では特に、その天賦の才能と音域を示している。

BABYMETALは決してフロックではなく、イエスの像やステージでのはりつけまで、ものすごく劇的な公演を行うので、ライブ・パフォーマーとしてはさらにものすごい。そして今はこの上なくメタルだ。オーストラリアはまだツアーしていないが、フォックス・ゴッドの許しを得れば、私とスナップサーティの仲間を連れて絶対にライブに行くつもりだ。

地元のJBハイファイに行き、15ドルくらい「Metal Resistance」に使って、心を開いたままにするんだ。本当にユニークで、成功と関心にふさわしいものを手にすることになるから。何よりも、BABYMETALはポップ・カルチャーの壁を、ほとんどの日本のバンドにはできなかったかたちで壊している。

("The One"へのリンク)

▼元記事
https://snapthirty.com/2016/05/29/babymetals-metal-revolution/


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