2016年6月14日火曜日

[Metal Junkie] コンサート・レビュー:BABYMETAL

コンサート・レビュー:BABYMETAL

ティム・リース(2016年6月13日)




2016年5月10日、メリーランド州シルバースプリングのザ・フィルモアで、俺のようなやつがBABYMETALを見に行くというのは想像しにくいと思うが、とにかく俺には隠された何かがあった。長年に渡り、ザ・フィルモアのショーをいくつか見に行ったことがあるが、ソールドアウトというのは観たことがなかった。この晩はソールドアウトだったんだ! 会場まで続く行列は、3ブロック近くあったんだよ!

前座はいなかったが、観客は誰一人気にしていないようだった。1時間半ほど立ったままおしゃべりをして、俺が「一度限りの」友人と呼ぶような連中と付き合っていた。わかるだろう?

BABYMETALがステージに立つと、混沌と狂乱が起こった。観客は一体となり、ステージに押し寄せては帰るという波の満ち引きをほぼいつもやっていた。俺の背後では、サークルピットが開いて、モッシュしたくない連中は前へと圧縮してきた。2曲目か3曲目が終わった頃には、最前から6人目くらいだったのが、2人目になっていた。

音楽は完璧だった。ボーカリストの十分にリハーサルを重ねた歌と共に、バンドの技術的な正確さは印象的だった。バンドは優れた、クリーンで、テクニカルなメタルに響いた。武術の影響を持ち、少なく見積もっても、振り付けは楽しく、エネルギッシュだった。3人のシンガーは、コンサートを通じて動きを止めることがなかった。BABYMETALのボーカルは、大きなJポップの影響があるので、メタル純粋主義者の中にはこれを価値を貶めるものとする者もいるかも知れない。それについては「仕方ない」と言うしかない。誰かが特定のバンドが好きでなくてもそれは構わないが、自分が聞きたくないバンドとしてBABYMETALを切り捨てる前に、ライブで一度観てみることを強くお勧めする。いつも連中のスタジオ・アルバムを聴いていられないのは分かっているが、次に町にBABYMETALがやってきたら、俺が何が何でもショーに行こうとすることは確かだ。

この公演では、メタル・ショーでは通常見ることのない面が一つあって、そのことで俺は本当に驚き、高揚し、感心した。観客が本当にいろいろな人間の集まりだったのでショックを受けた。ブラック・メタルのショーに行く途中で、道に迷い、ザ・フィルモアに紛れ込んだような、顔を塗って、逆十字を身につけた黒衣の連中がいた。BABYMETALからヒントを得たチュチュのようなファッションの連中を観た。まるで、観客が自分のお気に入りのIN THIS MOMENTのような衣装を着ることを促される、このバンドのBecome the Showを想い出させた。幼児から十代、二十代、そしてたぶん三十代の少女や女性がドレスアップして、とても楽しい時間を過ごしていた。十代未満から高齢の市民、そしてその間のあらゆる年齢の人々がいた。様々な国籍や人種の連中がいた。

本当にステキだったのは、若かろうが、年寄りだろうが、白人だろうが、黒人だろうが、ヒスパニックだろうが、アジア人だろうが、ストレートだろうが、ゲイだろうが、男性だろうが、女性だろうが、こういったカテゴリーに当てはまろうがどうだろうが関係なかったことだ。1時間半のショーの間、ザ・フィルモアの中にいた連中は、素晴らしい時間を過ごし、良い音楽を聴いているただのファンだった。誰もがあの短い時間、自分たちの持つ違いを脇に置いて、お互いが同じ体験を共有しながら、ステキな人間であることを楽しんだ。メタル・ファンは、俺が出会った中で、最もクールで、最もインクルーシブな連中の一つであり、このショーはまたもそのことを証明して見せた。

▼元記事
Metal Junkie Concert Review: BABYMETAL



3 件のコメント:

  1. 翻訳ありがとうございます。
    ソールドアウトって割と知名度があればするもんだと思ってたんですが、会場によるんでしょうけど、アメリカツアーの会場はソールドアウトっていう言葉には私個人の印象以上に深い意味があったと気づかされました^-^;
    評論家の技術的なコメントや著名バンドの名前を例にした記事も面白いですけど、こういったお客さん目線の内容の翻訳記事も見ててとてもうれしくなりますね^-^
    ありがとうございます♪

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  2. いいレビューですね。
    最後のくだりは、ちょっと感動していまいましたw

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  3. 素敵なレビュー

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