2016年10月11日火曜日

[AJET Connect] BABYMETALの興隆

BABYMETALの興隆

ダニエル・ケニー(AJET Connect, 2016年10月号)



時計の針を1年ほど巻き戻そう。2015年8月、僕は、MARILYN MANSONのショーで良い場所をゲットしようと、2バンド前くらいからサマー・ソニックのマウンテン・ステージに立っていた。中くらいだが熱心な観客を前に、BABYMETALがステージに上がった。BABYMETALの3人の若いお嬢さんたちは、怖い顔をして、チョコレート賛歌を歌い、「メタル」をその「ベビー」に与えるスタジオ・ミュージシャンたちを前に、跳ね回った。これは十分に良いショーで、関わった誰もが楽しんでいるようだった。うれしい新規物だなと思ったのを覚えている。

1年後。2016年のサマー・ソニックで、僕はオープニング・アクトを待ってソニック・ステージに並んでいた。ものすごい行列の多くは、BABYMETALの衣装で着飾ったり、バンドのコスプレをしたりしていた。キツネ様のマスク(BABYMETALの守護メタル神)や濃いアイシャドウが、あらゆるところに見えた。BABYMETALは今年、ソニック・ステージのヘッドライナーを務め、その熱心なファンは、場所を確保するために10時間近く行列を作っていた。

では、どうしてここに来たんだろう? もしBABYMETALの名前を聞いたことがあって、「何が起こってるんだ?」と思ったら、できたら「BABYMETALって何だ?」と思ったら、読み続けてくれ。

BABYMETALは2010年頃に、小学生・中学生をテーマとするアイドル・グループ、さくら学院で始まった。さくら学院はごく普通の日本のアイドル・グループだが、サブグループは学校のクラブ活動に基づく様々なテーマで演奏を行っている。BABYMETALはもともと重音部だった。とろけるようなギターとかわいいJポップの歌声、それに振り付けを組み合わせるというアイデアは新しく、最初のシングル、"ド・キ・ド・キ☆モーニング"(2011年)が当たり、そのビデオは2012年末には100万ビューに達した。2013年にファースト・アルバムをリリースし、サマーソニック、ラウド・パーク、そして英国ソニスフィアのようなフェスティバルで演奏し始める。今年、BABYMETALはセカンド・アルバムをリリースし、サポートのためにワールド・ツアーに出、アメリカではザ・レイト・ショー・ウィズ・ステーヴン・コルベアに出演、英国ではウェンブリー・スタジアムをソールドアウトした日本で初めてのアーティストとなった。その演奏はガーディアン紙で五つ星のレビュー(1)を受けている。この時点で、BABYMETALは正当な現象と呼ぶことができるだろう。

ではなぜだろうか? あの小さな女の子たちと、日本におびただしくいる他の目新しいアーティストはどう違うのだろうか?

まず一つには、僕が見つけたように、BABYMETALはマーケティングされたまさにそのものに進化したということだ。BABYMETALが最初にシーンに登場した時に、三人のチュチュを履いた女の子たちは、メタルを聞いたことなどなかったし、そのバックバンドはBABYBONESで、カラオケが演奏されている中、楽器を演奏しているふりをしている、無名のパントマイムだった。"ド・キ・ド・キ☆モーニング"は、ポップスのように演奏されており、ロックの要素は、観客の関心を惹くためだけに存在していた。みんなが「どこでそのステッカーを手に入れたんだい?」と思うような、ピンクのふわふわしたトラッパー・キーパー(訳注:ルーズリーフのバインダー)の表にIRON MAIDENのステッカーが貼られているようなものだった。

BABYMETALは、他の多くがそうだったように失敗に終わっても不思議ではなかったが、2012年に、ギター・ソロに精通した実際のミュージシャンたちである神バンドがライブ演奏に加わり、サウンドはもっとメタルとJポップのフュージョンに変わっていった。メタル神、キツネ様がBABYMETALに世界にメタルを広めるように命じたというBABYMETALの神話も、この頃に形作られている。元気で女の子らしいアイドルの魅力とこれを組み合わせると、トラッパー・キーパーのステッカー的な状況は薄まり、チョコレートモルトとポテトフライのような何かになった。最初はフライをチョコレートモルトに漬けるというのは良い考えだとは思えないだろうが、実際には思っていた以上のものになるんだ。

最近、BABYMETALはみんなが思っていたよりもずっとうまくやっている。2015年のサマーソニックのショーは全部が僕の好みだったとはいえないが、新しく、楽しく、アーティストも観客も、公演を通して、最高の時間を過ごしていた。

この目を通せば、彼女たちの成功はまったく驚きではない。ロックし続けてくれ、BABYMETAL。

ダニエル・ケニーはメタルヘッドではないが、モッシュピットのやり方は知っている。またたまにツイートする(http://bit. ly/1J3YOWc)LADYBABYが何者か、彼に説明してもいいかもしれない。

出典:
1. http://bit.ly/2c9pmWk

▼元記事
The Rise of Babymetal


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