2016年12月26日月曜日

[Bionic Finger Films] RED HOT CHILI PEPPERSとBABYMETAL、マンチェスター・アリーナ、2016年12月15日

RED HOT CHILI PEPPERSとBABYMETAL、マンチェスター・アリーナ、2016年12月15日



RED HOT CHILI PEPPERSとBABYMETAL(2016年12月15日、マンチェスター・アリーナ)

(2016年12月17日)

2016年12月15日に、私はマンチェスター・アリーナで、RED HOT CHILI PEPPERSを見た。絶対的に素晴らしかったけれど、たぶん最後になるだろう。

25年に及ぶメインストリームでの成功と、アングラでの悪評を共に誇るRED HOT CHILI PEPPERSほどの長寿を維持しているバンドはほとんどない。長年にわたり、ラインナップ同様に彼らのサウンドも変化し、誰にも何かしらがあるバック・カタログを積み上げることができた。このことで、おそらく今日活動している中では最も一般的に楽しまれているバンドとなっている。

前作、「I'm With You」(2011年)と最新リリース、「The Getaway」(2016年)は、以前ほどの成功を収めていないが、これは明らかに中核的な要素、すなわちジョッシュ・クリングホッファーと交替で2009年に脱退した、元ギタリストで中心的なソングライターだったジョン・フルシアンテ、それに豪腕プロデューサーのリック・ルービンを欠いているからだ。驚くべきことに、「I'm With You」からは何も演奏されず、「The Getaway」からの曲は義務的に感じられたが、フルシアンテ・トリビュート・バンドから解放された時に、クリングホファーは、自分が描いた曲で輝きを見せた。残念ながら、前任者のあとを埋められる人間は、この世にはいないだろうし、これからもいないだろう。もっとも、RED HOT CHILI PEPPERSという怪物の中では、彼のためらいがちな場違い感が、特にフルシアンテの取り憑くようなバッキングのファルセットをまねしようとする時に、この機会のようなカルテットに、歓迎すべき弱さや本物らしさを与えている。

最新アルバムからの曲は、傑出した"Go Robot"を例外とすると、最も無関心に受け取られ、この件に関しては、最も無関心に演奏された。観客が辛抱強く耐える中、義務的に演奏された。"Dreams of a Samurai"や"The Getaway"のタイトル・トラックは、バンドが有名になったフックやシンガロングのコーラスが欠けていた。観客は、アルバムがそれぞれのギグ・チケットに対してかしこくも無料で提供されていなければ、新曲に対してまったく無反応だったかも知れない。

["Go Robot"ビデオへのリンク]

「I'm With You」と「Stadium Arcadium」(2006年)は、シンプル風味だったが、新曲は、ステージではさらに2人、時には3人の追加ミュージシャンが必要になり、RED HOT CHILI PEPPERSを見るために60ポンドを払っていれば、セッション・ミュージシャン#3を迎えて欲しいとは思わないだろう。このことは、エレクトロニクスの要素と追加のパーカッションを取り入れることで、モダンさを保とうとして、シンプルさを明らかに犠牲にした実際のバンドを薄め、聞こえなくしてしまう。アルバムでは、このことはプロデュース過剰となり、ライブでは、バンドの残りの邪魔となる。チャド・スミスは例外だ。彼の轟音のようなビートは、バンドの屋台骨だ。ヒット・ソングでは、彼のパワフルなエネルギーが、バンド仲間をどんどん後押しし、最大限を得させる。それからジャムへと入り込み、数学的にすべてを一つにまとめる。

RED HOT CHILI PEPPERSの長きにわたるUSP(売り)は、その即興性で、セット・リストがイントロ・ジャムとしていたとしても、ほぼ全部の曲が即興部分で終わる。これは長短がある。うまく行くと、自分自身のものとなり、何かとても個人的で、従って特別であるように感じる。何度か気付いたが、うまく行かないと、ぎこちなく、苛立たせられる。時々、特に永遠の大人子供であるリード・シンガーのアンソニー・キーディスが新人のジョッシュ・クリングホファーを中断すると、お互いが躓いたようになる。彼は、バンドがヴァースに戻ろうとしている時に、ソロを始めたりコーラスを繰り返してギタリストに重ねて歌うことがある。キーディスは、一、二度歌詞を忘れてへまをした。"If You Have To Ask"、それにショーのラスト・ナンバー、"Give It Away"でだ。だがおかげで、十代の時にバンドでこの曲をカバーした時に、自分自身が"If You Have To Ask"の歌詞を困ったことに忘れたという事実について気分が良くなった。

記憶に残るのはライトショーだ。観客の上方の油圧式のワイヤーでつるされた千以上の照明のチューブは、これまで見たこともないものだった。コンサートを通じて、ショーに動きのある次元を加えていた。適確に上げ下げすることで、よりビッグな曲をさらにビッグに、また屋根のように降りてくることで、ソフトな曲はより親しみやすく感じさせた。また上下を繰り返すことで、"Give It Away"のようなよりスペイシーな曲には波のようなイフェクトを創り出していた。

[キャプション]
直感的で、動的なライトショーは、スタジアムのコンサートに何か新しいものをもたらしていた

セットは大部分がエネルギッシュで、"Suck My Kiss"や"Right On Time"のようなより無名の曲をうまく組み込んだ観客を喜ばせるもので、何よりほぼ90分をカバーしていた。もっと長かった方が良かったが、あれ以上のものは期待していなかった。クラシックな曲は前と変わらず良かったし、新しいシングルはそのままだった。義務的で、長くて、場違いだったが、ジョッシュ・クリングホファーのゴージャスなエワン・マッコールの"Dirty Old Town"から"Under the Bridge"へと移っていくところのような宝石によってバランスが取れていた。

["Under the Bridge"ビデオへのリンク]

セットリストに置ける配置から手間取った問題はアンコールだった。最後の曲はいつも"Give It Away"となるはずだったが、1曲前が、「The Getaway」のふくれあがった最後の曲、"Dreams of a Samurai"だった。ショーの偽の終わりのあとで、バンドはこのスローな新曲を演奏したんだが、観客は受け身でうなずき続けるしかなかった。アンコールは、最後のエネルギーの爆発を生み出すべきだし、観客に対して、バンドも完訳も体験に興味がないような何かではなく、思い出しながら家に帰るような何かを与えるべきだ。最後から2番目のスポットに収まることができた、"Give It Away"のために観客を盛り上げられるようなレッチリの曲は数え切れないほどある。

前座の日本のメタル・ポップ・バンド、BABYMETALは大成功だった。幸いなことに、私は数年前にダウンロードで彼女たちを見ていたので、自分が何を経験するのかが分かっていた。残りの観客はそうでもなかった。音楽的には、BABYMETALはものすごくヘビーだ。彼女たちと他のメタル・バンドとの違いは、うなり声を上げるヒゲだらけの男の代わりに、3人の日本人の女の子がフロントを務めている点だ。超振り付けられた女の子のバンドにデス・メタルのバッキング・バンドを組み合わせることで、目新しいものとして、メタルをメインストリームで売ることができる。最初は混乱していたが、観客の大部分は、セットの終わりには完全に味方になっていた。彼女たちはレッチリのトレードマークのエキセントリックさに言及していたが、彼女たちがいたのは、おそらくもっと金の問題だったんだと思う。

["ギミチョコ!!"ビデオへのリンク]

私は完全にギグを楽しんだ。でも、これはRED HOT CHILI PEPPERSが懐かしのバンドの領域に入ったというほろ苦い理解となった。公平に述べて、彼らのファースト・アルバムは30年前にリリースされたのだから、自分たちの栄光の上で休む権利以上のものを既に得ているのだろう。

ああ、ジョン・フルシアンテがなつかしい。

セットリスト

Intro Jam
Can’t Stop
Dani California
Scar Tissue
Dark Necessities
Hey
Right on Time
Go Robot
If You Have to Ask
Sick Love
Parallel Universe
The Getaway
Suck My Kiss
Dirty Old Town
Under the Bridge
By the Way

アンコール:
Dreams of a Samurai
Give It Away

▼元記事
Red Hot Chili Peppers with Baby Metal at Manchester Arena 15th Dec 2016


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