2017年1月20日金曜日

[New Noise Magazine] アルバム・レビュー:Babymetal – ‘Metal Resistance’(過去記事)

アルバム・レビュー:Babymetal – ‘Metal Resistance’(過去記事)

ニコラス・シニア(2016年4月1日)




Babymetal
Metal Resistance
(ソニー・ミュージックエンタテインメント)

メタルの世界にいる誰もが、まるでこのバンドがCNNがスポンサーのディベートにふさわしい政治的な問題であるように、BABYMETALについての意見を持っているようだ。Jポップ=メタルのハイブリッド・グループが存在するという事実自体が、首までヒゲを生やしたメタル・ブログ世界の多くを明らかに激怒させているので、BABYMETALのカワイイ・メタル・スタイルは、はじめからどん引きだったと言える。俺たちのように、クラシックなDEATHやEMPERORのアルバムとひとまとめにして、この手のものを狼狽せずに、実際に乗り越えられた者にとって、BABYMETALは忌み嫌う対象ではない。バンドのデビュー・アルバムの"メギツネ"や""イジメ、ダメ、ゼッタイ"は、過剰に甘いポップとAグレード・スタイルのメタル(それぞれエレクトロニカとパワー/スラッシュ)のこの上ないミックスを送り出すジャムだ。もちろん、俺のメタルにJポップを入れるというのは怪しい考えだが(そしてこれを認めても構わないが)、この2曲を聴いてみて、顔に笑顔が浮かばないだろうか。2枚目のアルバムのリリースの準備が整ったところで、BABYMETALは、このギミックはキャリアを維持するのに十分であり、虚しい楽しみの短命のグループではないことを証明しなければならない。

ありがたいことに、「Metal Resistance」は素晴らしいアイデアを得て、それをさらに良くするにはどうしたらよいのかの素晴らしい例だ。このアルバムは、さらにバッキング・バンドを輝かせている。摩訶不思議なハイブリッドを機能させるには、どちら側もものすごくうまくやらなければならない(ぶちこわし:やりとげた)。ここでは、デビュー・アルバム以上に、バッキング・メタル・バンドは、アルバムを通じて異なったスタイルを完璧にやり遂げている。驚くこともないが、メタルコア("Karate"、"GJ!"、"Sis. Anger")、そしてパワーメタル("Road of Resistance"、"Amore")は見事に演奏されており、こうした曲のすべてが明らかなハイライトであり、すばらしくウキウキしたボーカルをバックにした、高速でアグレッシブなメタルというグループの強みにふさわしい内容となっている。ほかには、フォーク・メタル、インダストリアル、プログレ・メタル、そしてスカさえも前面に出され、印象的な結果となっている。"Tales of the Destinies"は明らかにDREAM THEATERへの捧げ物だが、ここのところずっとDREAM THEATERが送り出してきたものよりもずっと素晴らしい。さらに、エンディングのパワー・バラード、"The One"は、ジェイムズ・ラブリエのチーズの愛情を示し、さらに掛け金をつり上げて、素晴らしい結果を生み出している。ハイライトは間違いなく"YAVA!"で、これはどのようにシンセサイザーを使用したバブルガム・スカがうまく行くのかを示しており、わずかに"メギツネ"を上回って、これまでバンドがやってきた中で最高のコーラスとブレイクダウンがある。

3人の女の子たちが自分たちの仕事を本当に素晴らしくやっている中で、バッキング・バンドだけを讃えることは不可能だろう。Jポップについては詳しくないことを告白しなければならないが、リード・ボーカリストのスゥメタルは一人でキャリアをスタートするだけの才能がある。彼女は、バンドのデビューで人気をさらい、「Metal Resistance」を通じてさらに良くなっており、どの曲でもメロディーにちょっとしたひねりを効かせて、ぴったりとはまっている。だからこそ、BABYMETALは本当にうまく行っているのだ。もちろん、最高のかたちの音楽的な不協和なのだが、本当にそれほどの不協和なんだろうか? そもそも、それほど馬鹿げたことなのか? BORN OF OSIRISのファンにぴったりと合いそうな曲である"Sis. Anger"は、通常のグロウル・ボーカルによるものと比べたら、よほど馬鹿げて聞こえなくないか? ちょっと違ったものに対して心を開けば、カワイイ・メタルの世界に十分に浸ることができる。

このアルバムでは確かにメタルの要素が少し強まっており、このハイブリッド・サウンドというアイデアだけでなく、その作り方について、関係者全員がより慣れたように思えるという事実を考えれば、筋が通っている。さらにユイメタルとモアメタルはまだ16歳、スゥメタルは19歳[原文ママ]なので、グループがこの3人に合わせて成長していくことができるというのも理に適っている。ちょっとした改善と予想通りの音の冒険主義によって、「Metal Resistance」は彼女たちをユニークで楽しくしているものをよりしっかりとつかんだ内容となった。純粋な音の楽しみは失われておらず、結果は、新規物と思われていたアクトが、「Metal Resistance」と共に長続きすることを示している。

▼元記事
Album Review: Babymetal – ‘Metal Resistance’


1 件のコメント:

  1. 3枚目は本当に難しい!ほんとに………。
    1枚目、2枚目の良さを維持しつつ、新しい何かを加えて質の良さを前作以上の作品にしなければならない!練って練って練ってどこまでクオリティーをしめせるか?!
    日本人でこれほど期待されるアーティストがグループバンドがいるだろうか………

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