2018年5月15日火曜日

[Central Track] 汗をかいて、すり傷を負って、驚愕した:BABYMETALの宵

[Central Track] 汗をかいて、すり傷を負って、驚愕した:BABYMETALの宵

ジェイコブ・ベッサー(2018年5月14日)






金曜の夜、ハウズ・オブ・ブルースで、日本のBABYMETALがメタル・コンサートはどういうものかというあらゆるすべての予想をこなごなにした。

ほとんど50年近く、日本の音楽産業は、レコード・レーベルが、無名の十代の少年少女を拾い上げて、健全性と無垢さを中心にし、注意深く監督されたパッケージとして提示される、ポップ・スターに急激に仕上げるという「アイドル」文化を中心としてきた。

期待される十代の対象を超え、中年の大人の注目を集めるほどのJポップのスターたちの魅力によって、これは成功モデルともなってきた。だが多くの場合、このようなアイドルの取り組みは、日本人の観客に限られてきた。

だが、それは2010年になってすべて変わり始めた。日本のアミューズというレーベルが、多くのアイドルが生み出す、予想通りの派手なポップ作品を超えたよりヘビーなサウンドに焦点を合わせたグループを結成しはじめ、カワイイ・メタルという新しいジャンルを創り上げたからだ。この取り組みの最前線にいるのは、結成後数年で、既にそれ以前のアイドルの多くにはできなかったことを達成した、BABYMETALという大胆な新しいグループだ。

結成から6年いないに、その文化、伝説、そして音楽と共に、BABYMETALは、2016年にザ・レイト・ショー・ウィズ・ステーヴン・コルベアで演奏することになる、2015年のヒット曲、"ギミチョコ!!"がインターネットで大歓迎されたことで、全面的な国際的風雲児となった。

そして、この金曜の晩、BABYMETALが現在の米国ツアーの三番目の公演場所となったハウス・オブ・ブルースで演奏したことで、ダラスはようやくこのグループとその世界的な魅力を味わうことになった。これはバンドにとってテキサスでの最初のヘッドライナー・ツアーだ。

それは神秘的で、パワフルで、そうだな、とにかくものすごいショーだった。

ショーが始まると、これは単なるメタル・コンサートではなく、むしろ、フルに創り上げられた演劇であることが明らかになった。カーテンが上がると、バンドの三人のメンバーが、ローブとヘルメットをまとい、大きな杖を手にしていることが分かる。だが、バッキング・バンドがオープニングの"In The Name Of"を演奏し始めると、ソールドアウトとなった、親、教師、アニメっ子、ピットっ子、熱心なメタル・ファン、そしてMumford & Sonsのショーにいるような格子縞を着たミレニアル世代まで幅広い構成からなる観客は、ステージで明らかになったものによって、完全に熱狂した。

これはものすごく没入できるショーで、良く考え抜かれた振り付け、衣装、そして毎回驚きを覚えさせることに成功した様々な制作上の要素を通じて、バンドは—フォックス・ゴッドとして知られる宇宙的な存在の預言をかなえているメタルの七人の「選ばれた」門徒たちを中心とした—その物語の最新章を描き出した。

会場の中心近くに生まれたモッシュピットさえも、ステージで何が起こっているのかを見るためにしょっちゅう止まり、この演劇性に対して反応を示さないわけにはいかなかった。

呑み込むことは一杯あった。バンドが2015年の「BABYMETAL」と2016年の「Metal Resistance」の曲を充実した組み合わせを演奏する中、ライヴのバッキング・バンドは、素晴らしい正確さで曲をスラッシュし、中心となる演者たちは、踊り、歌い、揃って空手を演じた。これはタイトで、洗練され、アドレナリンが上がる内容だった。だが、"GJ"や"メギツネ"のような曲がラウドでブルータルだっただけでなく、ショーは感動的でもあった。ショーでも最も記憶に残り、魅力的な瞬間の一つは、青い照明とスモーク・マシンを巧妙に使用したことで会場の雰囲気全体が変わった、バラード、"紅月"における、スゥメタルの完璧なヴォーカル・パフォーマンスと共に訪れた。

(米国ツアーにおける彼女のバンドメイト、ユイメタルの不在によって、多くのファンが心配していたが、BABYMETALは、彼女の不在はより大きなストーリーの一部であるというステートメントを出した。これは公演の効果を減じるものと思われるかも知れないが、スゥメタルとモアメタルは、ステージに全員が揃っているかのように、観客の関心を保つことができた。)

メタル・ショーが、このような完全に創り上げられた体験となることを夢見ることさえまれだ。だが、そこにこそBABYMETALの魅力がある。多くの意味で、メタルはバンドの道具に過ぎない。殺人や陰気さについての予想通りの恐ろしい歌の代わりに、BABYMETALは目覚め、空手、そしてチョコレートについての曲を歌う。それによって、このグループは、メタルがその周囲に創り上げた文化的な壁を壊し始めている。

このことは、メタル・シャツを着たファンと同じようにアニメ・シャツを着たファンがいた、BABYMETALのダラスのショーでも当てはまったように思われる。ジャンルの決まり事ではなく、自身に対して真摯に取り組みながら、BABYMETALはメタルをその究極のかたち、すなわちエンターテインメントに昇華してきた。

そして、そうする中で、BABYMETALはその観客を完全に吹っ飛ばした。

もっと多くのバンドが—メタルであれ何であれ—同じことをやってくれたら。

▼元記事
SWEATY, BRUISED & AMAZED: AN EVENING WITH BABYMETAL.







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